青、生きること

2020年の詩に誤字脱字等の修正を行ったものです

ヨルノソラ 2022.04.26

ずっと喪うことが怖くて
喪ってきた事は知っていて
毎日ただ呼吸をするだけで
今も何かを喪い続けている

昔抱いていたテディベア
割ってしまったカップ
卒業制作のオルゴール
日焼けした交換日記
戯れにかいたパラパラマンガ

昨日傍らにあったはずの重さは
目が醒めたら行方不明で
温みと一緒に喜怒哀楽も
何処かへ流れ出てしまった

きっと喪うことは解っていて
喪うものなんか知らなくて
呼吸を止められないままで
今もまだ焦燥に苛まれている

西陽の公園
子供の笑い声
大人の話し声
反響する滑り台の小部屋
見つけてもらえなかったかくれんぼ

なくした喜怒哀楽の在り処を
湖の上の電話機で訊ねて
貼り紙をして廻った
目を開けたら枕が海を湛えていた

喪ったものは全部セピア色に霞んで
倦んだ部屋の中でまだ無垢なまま

ずっと喪う事が怖かった
ひたすらに今を望んだ
呼吸も鼓動も止まられないまま
いつしか大人になった

ただ、それだけの朝

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